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建築資材の値上げが続くと、現場ごとの見積もりや発注判断が一気に難しくなります。塩ビ管・塗料・断熱材・サッシ・配線機器など、どの品目が上がっているのかを把握できないと、受注後の利益や資金繰りを読み違えやすくなります。
問題は、値上げ幅だけを見ても対策を決められないことです。受注停止や納期未定が絡む品目では、代替品の有無、発注の優先順位、資金手当てまで同時に確認する必要があります。SNS上の不確かな情報に振り回されず、品目別にリスクを分けて見ることが重要です。
この記事では、2026年4月時点の建築資材の値上げ状況を品目別に整理し、発注を急ぐ品目、価格転嫁を相談すべき品目、先に資金手当てを考える品目まで分けて解説します。値上げ一覧を確認したら、支払日・入金予定日・手元にある注文書や請求書もあわせて整理してください。
- 建築資材 値上げ 一覧として、塗料・鋼材・断熱材・サッシ・配線機器など20品目以上の値上げ・受注停止状況を確認できる
- ナフサ不足・流通の目詰まりと、建設資材の値上げを分けて確認する方法
- 資材価格が上がったときに、発注・価格転嫁・資金手当てをどの順番で進めるか
- 資材高騰が下請け業者の資金繰りを圧迫する構造
- 公共工事で工期延長・スライド条項を相談する流れ
- 建設業で使える6つの資金繰り改善策の比較
- 中小企業庁のセーフティネット支援の使い方
建築資材 値上げ一覧【2026年4月最新】まず確認する20品目
建設資材の値上げは、値上げ率だけで判断すると対応が遅れます。2026年5月時点では、価格改定、納期遅延、受注停止、工期延長の相談、支払資金の手当てを同時に確認する必要があります。
| 最初に見る項目 | 確認する理由 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 納期が読めない品目 | 工期遅延や違約リスクにつながる | 施主・元請けへ早めに共有する |
| 原価率が崩れる品目 | 受注済み工事の利益を削る | 見積書、契約書、発注書を確認する |
| 先払いが必要な資材 | 入金前に現金が出ていく | 支払日と入金予定日を並べる |
| 公共工事の変更相談 | 工期や価格転嫁の相談余地がある | 発注者の案内と協議記録を残す |
検索で「一覧」だけを見に来た場合でも、最後は自社の支払日へ落とし込むことが重要です。一覧を確認したら、材料費、外注費、売掛金の入金予定を1枚にまとめてください。
資材高騰の記事で一番危ないのは、「値上げ品目を見た」で止まることです。現場では、発注日、支払日、入金予定日がずれるだけで資金ショートに近づきます。表を見たら、次に自社の資金繰り表へ移してください。
建設資材の値上げは、メーカー発表だけでなく、需給・価格指数・現場単価の3方向から見ると判断しやすくなります。一覧で品目を確認したあと、見積変更や価格転嫁の根拠として使える資料も分けておきましょう。
| 資料 | 何を見るか | 使いどころ |
|---|---|---|
| 国土交通省「主要建設資材需給・価格動向調査」 | 主要資材の需給・価格動向 | 資材不足や価格上昇の背景説明 |
| 経済調査会「建設資材価格指数」 | 建設資材価格の指数推移 | 見積改定や価格転嫁の補助資料 |
| 建設物価調査会「建設資材物価指数」 | 建設資材全体の価格動向 | 高騰が一時的か継続的かの確認 |
| メーカー発表 | 品目別の値上げ率、実施日、対象範囲 | 発注時期、納期、施主説明 |
公的データは「値上げがあるか」を知るためだけでなく、元請け・発注者・金融機関へ説明するときの根拠にもなります。価格表だけでなく、支払日と入金予定日まで一緒に確認してください。
- 確認日:2026年5月11日
- 対象:建設資材の値上げ・供給制限、支払日と入金日のズレ、資金繰りへの影響
- 確認する情報:メーカー発表、国土交通省の価格転嫁関連情報、公正取引委員会の手形等サイト短縮情報、金融庁のファクタリング注意喚起
- 注意:値上げ率だけでなく、納期・受注停止・支払時期まで確認してください。
最初に見るべきなのは、値上げ率の大きさだけではありません。工期に直結する品目、代替が難しい品目、先払い資金が必要な品目を分けて確認すると、発注と資金繰りの優先順位を決めやすくなります。
- 現場が止まる品目:住設、配線機器、塩ビ管、断熱材
- 原価を押し上げる品目:塗料、シンナー、防水材、鋼材、合板
- 資金繰りに響く支払い:着工前の材料費、外注費、入金待ちの売掛金
一覧表を見たあと、自社の案件で「いつ支払いが来るか」まで落とし込むことが重要です。
| 読者の状況 | この記事で見る場所 | 次に読む記事 |
|---|---|---|
| まず値上げ品目を把握したい | 下の品目別一覧 | この記事内で確認 |
| ナフサ不足の背景を知りたい | ナフサショックの実態 | ナフサショックとは |
| 受注後に値上がりして困っている | 価格転嫁・資金手当て | 受注後の資材値上がり対策 |
| 入金前に材料費・外注費の支払いが来る | 資金繰り改善策 | 建設業の資金繰り対策 |
積水化学が塩ビ管・ポリエチレン管を値上げ(2026年4月2日発表)


2026年4月2日、積水化学工業(環境・ライフラインカンパニー)は塩化ビニル管・ポリエチレン管および関連製品の価格改定を発表しました。値上げ実施日は2026年5月7日出荷分からです。
| 対象製品 | 値上げ幅 |
|---|---|
| 塩化ビニル管および関連製品 | 12%以上 |
| 塩化ビニル継手・マスおよび関連製品 | 6%以上 |
| バルブおよび関連製品 | 10%以上 |
| ポリエチレン管 | 20%以上 |
| ポリエチレン継手および関連製品 | 5%以上 |
| 架橋ポリエチレン管 | 15%以上 |
出所: 積水化学工業プレスリリース(2026年4月2日)
発表文では値上げの理由を「中東地域の情勢不安により石油・ナフサに由来する塩化ビニル・ポリエチレン原料の調達環境が急速に悪化し、その価格も急騰している」としています。対象分野は給排水・水道・下水道・農業用水・ガス・電力通信・建築設備・プラントと広範囲にわたり、住宅から土木インフラまでほぼすべての建設現場に影響が及びます。
品目別の建築資材 値上げ一覧【2026年4月最新】
❶ TOTO(4/13〜):システムバス・ユニットバス・トイレユニット全シリーズの新規受注を当面の間停止。再開の目途は立っていない。
❷ LIXIL(4/14〜):システムバスルーム全シリーズで新規発注の納期未定、5月以降の供給量減少を正式発表(出所:日本経済新聞4/14)。
❸ パナソニック ハウジングソリューションズ(4/14〜):バス全商品(Lクラス・BEVAS・オフローラ等)およびトイレ全商品(アラウーノ等)の即日納期回答を停止。3社合計で国内浴室市場の7〜8割が事実上ストップ。水回り工事の新規着工が極めて困難な状態。
建設資材の値上げは塩ビ管・樹脂管にとどまりません。2026年3〜4月にかけて、塗料・鋼材・サッシ・床材・防水材・配線機器など幅広い品目で値上げや供給停止が相次いでいます。各社の一次ソースをもとに一覧にまとめました。
表を見るときは、値上げ率だけで判断しないでください。納期未定や受注停止がある品目は、価格より先に工期と入金時期へ影響します。仕入れ先への確認、施主・元請けへの説明、必要資金の見積もりを同時に進めましょう。
高橋廉コメント:一覧表の読み方
値上げ率が大きい品目より、まず「現場が止まる品目」を見てください。住設・配管・配線機器の納期がずれると、完工と請求書発行が後ろに倒れます。価格だけでなく、入金が何日遅れるかまで見た方が資金繰り判断に使えます。
| カテゴリ | メーカー | 値上げ幅・状況 | 時期 |
|---|---|---|---|
| 塩ビ管・樹脂管 | 積水化学工業 | 12〜20%以上(塩ビ管12%・ポリエチレン管20%等 詳細は前節) | 2026年5月7日出荷分〜 |
| 塗料・シンナー | 日本ペイント | 75%値上げ | 2026年3月25日〜 |
| 塗料・シンナー | 関西ペイント | 50%以上値上げ | 2026年4月2日〜 |
| 防水材・断熱材全般 | 田島ルーフィング | 全新規受注停止・5月納品分より40〜50%値上げ | 受注停止:4/10 17:30〜、値上げ:5/1〜 |
| クロス・床材 | サンゲツ | 供給量減少・価格改定の可能性 | 今後の情勢次第 |
| クロス・床材 | 東リ | 同上 | 今後の情勢次第 |
| サッシ類 | LIXIL | 4〜15%値上げ | 2026年4月受注分〜 |
| システムバス・ユニットバス・トイレユニット | TOTO | 全シリーズ新規受注を当面の間見合わせ(再開時期未定)。トイレは出荷数量に上限設定 | 2026年4月13日〜(卸業者へ通知) |
| システムバスルーム全シリーズ | LIXIL | 新規発注の納期未定・5月以降の供給量減少を正式発表 | 4/14 正式発表 |
| サッシ類 | YKK AP | 5〜10%値上げ | 2026年5月受注分〜 |
| 鋼材(棒鋼・線材) | 日本製鉄 | 約5%値上げ | 2026年4月〜 |
| 鋼材(建設用) | 日鉄建材 | 約10%値上げ | 2026年4月引受分〜 |
| 鋼材(厚鋼板) | 神戸製鋼所 | 値上げ | 2026年4月契約〜 |
| 鋼材(異形棒鋼) | 共英製鋼 | 値上げ | 2026年4月契約〜 |
| アルミ製品 | 各社 | 原油・ナフサ市況や調達環境の変動に注意 | — |
| 屋根材 | 旭ファイバーグラス | 値上げ・入数変更 | 2026年7月〜 |
| 配線制御機器 | 三菱電機 | 最大80%値上げ | 2026年7月1日受注分〜(4月発表) |
| バス・トイレ全商品 | パナソニック ハウジングソリューションズ | 即日納期回答を停止(バス全シリーズ・アラウーノ等) | 4/14〜 |
| 断熱材(フェノールフォーム) | 旭化成建材 | ネオマフォーム等全品種 10〜15%値上げ・受注制限・納期調整 | 4/1受注分〜 |
| 断熱材(押出法ポリスチレン) | カネカ | カネライトフォーム 40%値上げ | 4/1出荷分〜 |
| 断熱材(押出法ポリスチレン) | デュポン・スタイロ | スタイロフォーム等 40%値上げ | 5/1出荷分〜 |
| 断熱材(グラスウール) | マグ・イゾベール(MAG) | グラスウール全製品・部材 25%以上値上げ・新規取引一時停止・納入実績レベルに応じた受注対応 | 7/1出荷分〜 |
| 石膏ボード | 吉野石膏 | タイガーボード等 石膏関連全製品・ソーラトン製品 20%値上げ(加工費40%値上げ) | 6/1出荷分〜 |
| アスファルトルーフィング類 | 日新工業 | 出荷停止 | 4/10〜 |
| 透湿防水シート | ニチハ | 供給制限 | 4/10〜 |
| 溶剤系塗料・シンナー | エスケー化研 | 溶剤系 80%値上げ | 4/21〜 |
| 水性・弱溶剤塗料 | ボンフロン | 受注一時停止(水性・弱溶剤製品全て) | 4/14〜 |
出所: 各社プレスリリース・日本経済新聞・新建ハウジング(2026年3〜4月、4/15更新)


特に注目すべきは3点です。第1に、シンナー類の75%値上げ(日本ペイント)。外装塗装・防錆処理のコストが一気に跳ね上がります。第2に、配線制御機器の最大80%値上げ(三菱電機)。電気設備工事の原価に直撃します。第3に、田島ルーフィングのウレタン防水材「オルタック」の一時受注停止。防水工事のスケジュールそのものが組めなくなるリスクです。
サンゲツ・東リのクロス・床材は「今後の情勢によっては供給量の減少および制限、納期変更、価格改定などが発生する可能性がある」とアナウンスしており、内装工事業者も先行きに注意が必要です。
さらに深刻なのが、2026年4月13日に発表されたTOTOのシステムバス・ユニットバス・トイレユニット全シリーズの新規受注停止です。浴室の壁・天井フィルムの接着剤および浴槽コーティング材に使われる有機溶剤が、ナフサ供給の急激な悪化により調達・生産できない状況になっています。TOTOは「全社を挙げて正常化に努める」としていますが、現時点では再開時期は未定です。LIXILも供給条件(価格・納期・数量)を調整する可能性を表明しており、国内浴室市場の約6〜7割を占める2社の動向は、水回り工事を抱えるすべての建設・リフォーム業者に影響します(出所:日本経済新聞・時事通信 2026年4月13日)。
鉄鋼・合板・生コンの価格推移【国交省データ】
国土交通省と日本建設業連合会(日建連)が公表している「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状」パンフレットによると、主要建設資材は2020年を基準に大幅な上昇を記録しています。
| 資材 | 2020年比の上昇率(概算) | 主な要因 |
|---|---|---|
| 異形棒鋼 | 約40〜50% | 原料鉄スクラップ高・電力コスト上昇 |
| H形鋼 | 約30〜40% | 同上 |
| 型枠用合板 | 約60〜80% | 輸入材不足・円安 |
| 生コンクリート | 約15〜25% | セメント・骨材・輸送コスト上昇 |
| 塩ビ管 | 約30〜40%(さらに+12%予定) | ナフサ価格急騰 |
出所: 国土交通省・日本建設業連合会「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状」をもとに編集部作成
出所: 国土交通省「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状」
特に型枠用合板は2020年比で60〜80%の上昇と突出しています。鉄筋コンクリート造の工事では鉄鋼と合板を大量に使うため、RC造の施工コストは二重に上振れしている状況です。
労務費も同時上昇。二重コストが現場を直撃している
資材だけではありません。国土交通省の同パンフレットでは、公共工事設計労務単価が11年連続で引き上げられていることも指摘されています。2024年度の全国全職種平均は前年比5.9%増となり、型枠工・鉄筋工などの専門職種ではさらに高い上昇率を記録しています。
資材費と労務費がダブルで上がるということは、工事原価全体が押し上げられるということです。元請けへの見積もり段階で価格転嫁できなければ、そのコスト増はすべて下請け業者の利益を削る形で吸収されます。
建設資材の値上げ一覧を確認したら、次は自社の現場に当てはめてください。重要なのは、値上げ品目の多さではなく、どの現場の利益と資金繰りに影響するかです。
- 対象品目:見積済み資材と値上げ対象が重なっているか
- 納期:発注遅れで工程全体が止まらないか
- 支払月:仕入れ支払いが入金より先に来ないか
この3点が重なる現場は、価格交渉だけでなく、つなぎ資金の準備も同時に考える必要があります。
ナフサショックの実態:「6月枯渇」は政府が否定、でも価格高騰は現実
SNSで拡散された「6月にナフサ供給が止まる」という情報を政府は明確に否定。ただし価格高騰のリスクは現実であり、デマと実際のリスクは切り分けて考える必要があります。
SNSで広まった懸念と実際の政府発表の差
2026年4月上旬、SNS上で「日本は6月にナフサ供給が確保できなくなる」という趣旨の投稿が拡散されました。ある個人アカウント(@cganime)は、中東と韓国からの輸入が全面停止した場合の有事シナリオとして「ナフサ供給が平時の1.6割まで激減する」という試算を発表しています。
この投稿は大きな反響を呼び、建設業界を含む多くの事業者に不安が広がりました。
これに対し、政府・経済産業省は、ナフサを含む石油製品について日本全体として必要となる量を確保していると説明しています。
なお、SNS上の試算は「中東+韓国からの輸入が全面停止する」という極端な前提に基づく有事シナリオであり、現時点でそのような事態は発生していません。個人の試算を事実として受け取らないよう注意が必要です。
現在の備蓄状況:少なくとも4か月分は確保されている
経済産業省は会見の中で、ナフサを含む石油製品の供給体制について以下の考え方を示しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 直近の供給量 | 調達済み輸入ナフサ+国内精製ナフサで約2か月分 |
| 川中製品在庫を含む | 少なくとも4か月分を確保 |
| 需給状況 | 現時点では直ちに需給上の問題は生じていない |
出所: 経済産業省「赤澤経済産業大臣の閣議後記者会見の概要」(2026年4月3日)
「少なくとも4か月分」という説明は、国内全体の供給見通しを示すものです。ただし、個別の建設資材が必要な時期に必要な数量で入るかは、メーカー・商社・販売店の在庫と納期によって変わります。
調達先の偏りと現場で見るべきこと
経済産業省は、輸入ナフサや国内精製ナフサ、川中製品在庫を含めて供給確保に取り組んでいると説明しています。実務では、全体の調達先よりも自社が使う品目の納期回答が重要です。
- 中東からの輸入: 約4割
- 中東以外からの輸入: 約2割
- 国内生産: 約4割
全体として供給確保の取り組みがあっても、現場では品目ごとに価格改定、納期未定、受注制限が起きることがあります。仕入れ先への確認、代替品の有無、発注期限、支払日の4点をセットで見てください。
政府は必要量を確保すると説明。ただし流通の目詰まりは残る
政府側からは、ナフサ供給不安に関する発信も出ています。ただし、実務で見るべきなのは投稿そのものより、経済産業省が示した供給確保と流通の目詰まりという整理です。
経済産業省は2026年4月3日の閣議後記者会見で、ナフサを含む石油製品について、備蓄の放出や代替調達により日本全体として必要となる量を確保していると説明しています。一方で、足元では供給の偏りや流通の目詰まりが生じているとの認識も示しています。
- ナフサを含む石油製品は、代替調達や国内精製、川下在庫の活用を進めている
- 塗料用シンナーの供給不安など、一部では事実関係の確認が続いている
- 医療・物流・農業を含め、分野横断でサプライチェーン情報を集約している
政府が必要量の確保に取り組んでいることと、資材調達の現場で納期遅延や価格高騰が起きることは別の話です。経済産業省も、足元では供給の偏りや流通の目詰まりが生じているとの認識を示しています。政府発表だけを見て安心するのではなく、自社の仕入れ先・納期・支払予定を個別に確認することが現実的な対応です。
塩ビ管・ポリエチレン管のような石油化学製品は、建設以外の産業でも使われます。だからこそ、建設業者は「全体として供給があるか」だけでなく、自社が必要な品目を、必要な時期に、必要な数量で確保できるかを見てください。
2026年5月時点:公共工事では工期延長・スライド条項の相談余地がある
2026年5月8日、広島県は中東情勢等による建設資材の価格高騰・納入遅延に伴う対応を公表しました。県発注の公共工事では、工事費が増える場合や資材の納入遅延で工期延長が必要な場合、発注者へ相談できると案内しています。
国土交通省も、中東情勢に伴う建設産業分野の対応として、原材料費・エネルギーコストを反映した適正な請負代金の設定、適正な工期の確保、単品スライド条項、建設資材の安定供給に関する通知を整理しています。
公共工事ではスライド条項や工期延長の相談ルートが見えやすい一方、民間工事では契約書次第です。まず「値上げ通知」「納期回答」「発注者へ送った書面」を残してください。資金繰りの審査でも、客観資料がある会社のほうが説明しやすくなります。
出所: 広島県「中東情勢等による建設資材の価格高騰・納入遅延等に伴う対応について」(2026年5月8日)、国土交通省「中東情勢に伴う建設産業分野における対応状況について」
ナフサショックで価格は本物の危機。デマと現実リスクを切り分けて動く
ここで強調しておきたいのは、「供給が枯渇する」という情報はデマでも、「価格が上がっている」という事実は本物だということです。
積水化学工業の値上げ発表がまさにその証拠です。中東情勢の不安定化でナフサの国際価格は上昇しており、その影響は塩ビ管・ポリエチレン管をはじめとする石油化学製品の価格に確実に転嫁されています。塗料・鋼材・サッシ・床材・配線機器まで含めると、2026年4月時点で20品目以上に値上げ・供給不安の影響が広がっています。
建設業者にとって重要なのは、「供給は当面確保されているが、価格は高く今後も上振れリスクがある」という現実を正確に把握し、コスト増に対応するための資金繰り策を早めに講じることです。
資材高騰と手形・でんさい移行を同時に見る理由
建設資材の値上げだけを見ていると、資金繰りリスクを低く見積もってしまいます。2027年3月末に向けて紙の手形・小切手利用廃止が進むため、資材費の上昇と支払い方法の変更が同じ時期に重なる会社も出てきます。
ここで重要なのは、でんさいや振込への移行は「決済方法の変更」であり、入金までの空白を自動的に埋めるものではないという点です。支払いが先に来る場合は、価格転嫁、融資、請求書ファクタリング、注文書ファクタリングを分けて検討してください。
| 状況 | 先に見る対策 | 次に読む記事 |
|---|---|---|
| 資材費が着工前に必要 | 注文書対応の資金調達 | 建設業向けファクタリング会社比較 |
| 請求済みで入金待ち | 請求書ファクタリング | 建設業向け条件別比較 |
| 手形・小切手の扱いが不安 | でんさい・振込への移行確認 | 約束手形廃止と資金繰り対策 |
資材高騰が下請け建設業者の資金繰りを直撃する仕組み
現場を見ていると「受注は順調なのに手元が薄い」という建設業者さんが本当に多いです。資材費の高騰はコスト問題だけでなく、支払いサイクルのズレで資金ショートを起こす構造問題です。利益ではなく、まず入出金の日付を見てください。
見積もり時と仕入れ時の価格差、長い入金サイト、先行出費の大きさ。この3つが重なると、黒字受注でも資金ショートが起きます。
見積もり時と仕入れ時の価格差で利益が消える
建設工事は受注から完成まで数か月かかります。見積もり提出時に想定していた資材価格が、実際の仕入れ時には大きく上がっている――。資材高騰局面では、このタイムラグが利益を直接削ります。
たとえば塩ビ管を大量に使う配管工事を3月に受注し、5月に資材を発注したとします。積水化学の値上げ(5月7日出荷分から12%以上)がそのまま適用されれば、見積もり時の想定原価と実際の仕入れ原価に12%以上の乖離が生じます。
元請けとの契約が固定価格であれば、この差額はすべて下請け業者の持ち出しになります。
資材費が15%上昇したら利益はどうなるか(年商1億円シミュレーション)
具体的な数字で見てみましょう。年商1億円・資材費率35%の中小建設会社を想定します。
| 項目 | 従来 | 資材費15%上昇後 |
|---|---|---|
| 年間売上 | 1億円 | 1億円(据え置き) |
| 資材費(35%) | 3,500万円 | 4,025万円(+525万円) |
| 労務費(30%) | 3,000万円 | 3,000万円 |
| 外注費(15%) | 1,500万円 | 1,500万円 |
| その他経費(10%) | 1,000万円 | 1,000万円 |
| 営業利益 | 1,000万円(10%) | 475万円(4.75%) |
資材費が15%上がるだけで、営業利益は1,000万円から475万円へと半分以下に減少します。利益率は10%から4.75%まで下がり、少しでも追加コストが発生すれば赤字に転落するギリギリの水準です。
さらに労務費の上昇(前年比約6%)を加味すると、実質的な利益はもう一段削られます。受注は好調なのに利益が出ない、いわゆる「忙しいのに儲からない」状態に陥るリスクが高まっています。
入金サイト60〜90日の壁。手元資金が先に尽きる構造
建設業特有の問題がもう一つあります。入金サイト(工事完了から代金受領までの期間)が60〜90日と長い点です。
資材費は仕入れ時に現金またはごく短い支払いサイトで決済する必要があります。一方で工事代金の回収は2〜3か月後。この間、上昇した資材費を自社の手元資金で立て替えなければなりません。
先ほどのシミュレーションで言えば、資材費の月次支出は約335万円(4,025万円 / 12か月)。入金サイトが90日の場合、常時3か月分=約1,005万円が立て替え状態になります。利益475万円の会社がこの立て替えを続けるのは、綱渡りと言わざるを得ません。
資材費が上がる一方、工事代金の入金は60〜90日後——。このキャッシュギャップをファクタリングなら最短即日で売掛金を現金化して解消できます。
あわせて読みたい: 【建設業向け】注文書ファクタリングとは?資材高騰時代の受注前資金調達・仕組み・手数料を解説




住設受注停止×工期延長:今週中に取るべき4つのアクション
TOTO・LIXIL・パナソニック ハウジングソリューションズの同時受注停止で、ユニットバス・トイレが入らず完工できない現場が続出しています。完工検査が通らなければ請求書も発行できず、入金が後退します。「状況が落ち着いてから施主に連絡しよう」という判断は、資金繰りも信頼関係も同時に悪化させます。今週中に動ける4つのアクションを整理します。
アクション①工期延長を書面で通知する(今週中)
口頭ではなく書面で通知します。記載すべきは以下の4点です。
- メーカーの受注停止という客観的事実(プレスリリース・公式通知書を添付)
- 自社工事への具体的影響(工程名・品番・設置予定時期)
- 代替品の検討状況と見込み工期
- 次回の状況報告時期(「○月○日までに再連絡します」と明記)
書面通知を怠ると、契約上の完工期日を超えた瞬間から遅延損害金(請負代金の0.1〜0.2%/日)を請求されるリスクが残ります。1,000万円の工事で1日あたり1〜2万円、60日遅れれば60〜120万円です。書面通知はこのリスクを切り離す法的手続きでもあります。
アクション②中間払い交渉を同時に行う
工期延長通知と中間払い要請は同じ書面・同じタイミングで提示すると、施主にとって理解の流れが自然になります。「メーカー停止で工期が延びる→その間の資金繰りを安定させるため中間払いをお願いしたい」という構成です。
金額の根拠は出来高計算書で示します。基礎・躯体・外装・屋根が完成していれば、1,000万円の新築工事で工程費600〜700万円相当、その50〜70%にあたる300〜500万円が中間払いの妥当な要請額です。公共工事は中間前払金制度(出来高50%時点で追加20%)が法定整備されており、発注機関への確認申請に2〜3週間かかるため、今週中の着手が前提になります。
アクション③代替製品への仕様変更を提案する
2026年4月時点で受注を継続している代替先を品目別に整理しました。在庫は週単位で変動するため、毎週の確認をルーティン化してください。
| 品目 | 停止メーカー | 代替候補 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ユニットバス | TOTO・LIXIL・パナソニック | タカラスタンダード・積水ホームテクノ | 在庫流動的。毎週確認必須 |
| システムキッチン | LIXIL・パナソニック(一部) | タカラスタンダード・クリナップ・永大産業 | 品番・納期は個別確認 |
| 給湯器 | パナソニック(一部) | ノーリツ・リンナイ・パロマ | エコキュートはコロナも対応 |
| 洗面化粧台 | LIXIL・TOTO(一部) | タカラスタンダード・サンワカンパニー | サイズ・給排水位置の確認が必要 |
| トイレ | TOTO全品・パナソニック全品 | LIXIL(一部品番) | 一部品番のみ。個別確認必須 |
| 断熱材 | カネカ・デュポン(値上げ) | JSP・積水化成品 | 価格・品番要確認 |
| アスファルトルーフィング | 日新工業(出荷停止) | 田島ルーフィング・ニッタ化工 | 改質アスファルト品への変更も検討 |
代替品の手配時に必須なのが、施主との仕様変更合意書です。「代替品でいいですよ」という口頭了解だけでは、引き渡し後に「そんな話は聞いていない」というトラブルに発展します。設計事務所が関与する物件では設計士の事前承認も忘れずに取り付けてください。
アクション④資材費高騰分の増額変更交渉
契約書にスライド条項(物価変動に連動した請負代金変更条項)があれば、その条項を根拠に増額変更を提示できます。国土交通省の標準約款には「物価変動による請負代金の変更」条項が含まれており、これを準拠条文として使えます。
スライド条項がない契約でも、民法第536条(危険負担)と「事情変更の原則」を根拠に交渉する余地があります。ただし「着工後に予見不能な価格変動が生じた」ことを客観的に証明する必要があり、資材商社からの価格改定通知書・建設物価調査会の統計・ナフサショック関連の報道記事を証拠書類として揃えることが条件です。
「住設が入るまで待てばいい」という判断は、手元資金が3ヶ月以上ある業者だけが取れる選択肢です。手元資金が1〜2ヶ月の業者は、今週中に動かないと来月の支払いに詰まります。まず自社の「手元資金で固定費を何ヶ月賄えるか」を計算してから、4アクションの優先順位を決めてください。
資材価格の一覧を見ても、次に何をすべきかは会社の状況で変わります。まずは次の3つを確認してください。
- 支払いまでの猶予:1週間以内 / 1か月以内 / まだ余裕あり
- 主な悩み:仕入れ・外注費が先に出る / 売掛金の入金が遅い / 価格転嫁できない
- 相談済みの相手:金融機関 / 商工会・よろず支援拠点 / まだ相談していない
- 支払いまで1週間以内で、入金待ちの売掛金がある
請求書・注文書・発注書で資金化できるかを確認します。比較する場合は、手数料・契約条件・危険サインを確認してから建設業向け条件別比較へ進んでください。 - 支払いまで1か月あり、銀行にまだ相談していない
資金繰り表、値上げ通知、受注予定をそろえて金融機関へ相談します。全体像は建設業の資金繰り改善策で確認できます。 - 価格転嫁できず利益が削られている
元請・発注者への協議記録、見積条件、スライド条項の有無を確認します。受注後の対応は受注後の資材値上がり対策を見てください。 - どこに相談すべきかわからない
商工会議所、よろず支援拠点、下請かけこみ寺などの無料相談から確認します。
すぐに申込みを決める必要はありません。まずは「いつ支払いが来るか」「どの売掛金があるか」「誰に相談済みか」を分けると、公的支援・融資・ファクタリング・価格転嫁の順番を決めやすくなります。
建設業の資金繰り改善策5つを比較
銀行融資からファクタリング、制度活用まで5つの選択肢を一覧比較。自社の状況に合った手段を選ぶ判断材料を提供します。
| 手段 | 資金化スピード | コスト目安 | 審査のハードル | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 銀行融資(プロパー) | 2〜4週間 | 年1〜3% | 高い(決算2期分等) | 財務内容が安定している企業 |
| 銀行融資(保証協会付き) | 2〜6週間 | 年1〜2%+保証料 | 中程度 | 信用力が不足するが時間に余裕がある |
| 日本政策金融公庫 | 3〜6週間 | 年1〜2% | 中程度 | セーフティネット対象業種 |
| 請求書ファクタリング | 即日〜3日 | 手数料1〜10% | 低い(売掛先基準) | 請求書発行済みで急ぎの資金が必要 |
| 注文書ファクタリング | 即日〜5日 | 手数料3〜12% | 低い(発注元基準) | 受注段階で資材費を確保したい |
| スライド条項 | 契約変更後 | なし(価格転嫁) | 元請けとの交渉次第 | 公共工事・元請けが理解ある場合 |
価格指数やメーカー発表で値上げを確認しても、実際に苦しくなるのは請求書の支払日が近づいたときです。材料費を先に払う現場では、値上げ率よりも「いつ現金が出て、いつ入金されるか」を先に並べてください。
- 発注書・請求書・納品予定日をそろえる
- 元請けへの価格転嫁相談の記録を残す
- 支払日が先に来る資材を分ける
- 入金前に不足する金額を早めに見積もる
銀行融資(プロパー・保証協会付き)
最もコストが低い資金調達手段は銀行融資です。プロパー融資であれば金利は年1〜3%程度で、長期返済も可能です。保証協会付き融資は自社の信用力が不足する場合の補完手段として活用されています。
ただし、審査に2〜6週間かかるため、「来月の資材費が足りない」という緊急性の高い場面には間に合いません。また、赤字決算や債務超過の状態では審査通過が難しくなります。
日本政策金融公庫のセーフティネット貸付
日本政策金融公庫には、社会的・経済的環境の変化により業績が悪化している中小企業を対象とした「セーフティネット貸付」制度があります。資材高騰による売上総利益の減少は、この制度の適用対象になり得ます。
金利は民間銀行より低水準ですが、やはり審査に3〜6週間程度かかります。中長期的な運転資金の確保には有効ですが、短期の資金ギャップを埋める目的には向いていません。
請求書ファクタリング(売掛金の早期資金化)
工事が完了し、請求書を発行済みであれば、請求書ファクタリングが選択肢に入ります。売掛金をファクタリング会社に売却することで、入金日を待たずに最短即日で資金を受け取れます。
審査は売掛先(元請け・発注者)の信用力が基準になるため、自社の財務状況が厳しくても利用しやすい点が特徴です。手数料は2社間方式で5〜10%、3社間方式で1〜5%が相場です。
注文書ファクタリング(受注段階で資金化)
建設業の資金繰り問題を最も根本的に解決できるのが、注文書ファクタリングです。工事完了前・請求書発行前の段階で、注文書(発注書)をもとに資金を調達できます。
たとえば3月に受注した工事の注文書で、4月中に資金を確保することが可能です。これにより、5月に値上げされる資材を事前に手配するための資金を確保できます。資材高騰局面では「早く買えば安く済む」ケースも多いため、スピードが直接コスト削減につながります。
スライド条項の活用(元請への価格転嫁)
国土交通省は「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状」パンフレットの中で、スライド条項の活用を推奨しています。スライド条項とは、工事契約後に資材価格や労務費が一定以上変動した場合、請負代金を変更できる制度です。
公共工事では契約約款に盛り込まれているケースが多いですが、民間工事では契約書に明記されていない場合もあります。また、元請けとの交渉が必要なため、下請けの立場からは、証拠資料と協議記録を残しながら進めることが重要です。
なお、スライド条項の交渉が難航している間の資金手当てに、注文書・請求書ファクタリング両対応の会社を検討する場合は、危険サインを確認したうえで建設業向け条件別比較へ進んでください。
参考: 国土交通省・日本建設業連合会「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状」
中小企業庁のセーフティネット支援を活用する
中小企業庁は「中東情勢等を踏まえた中小企業・小規模事業者向け支援」ページを開設し、資材高騰や供給不安に対応するための融資制度・補助金情報を随時更新しています。
建設業は中東情勢の影響を受けやすい業種として認定されやすく、セーフティネット保証(信用保証協会による保証枠の拡大)やセーフティネット貸付(日本政策金融公庫)の適用対象になる可能性があります。まずは管轄の商工会議所・商工会に相談し、自社が支援対象に該当するか確認してください。
支援制度の内容は状況の変化に応じて随時更新されます。中小企業庁の公式ページで最新情報を確認することをおすすめします。
出所: 中小企業庁「中東情勢等を踏まえた中小企業・小規模事業者向け支援」
📘 具体的な会社選びに進むなら:建設業向けファクタリング会社比較 で、注文書対応・一人親方対応・手数料上限・必要書類を確認してください。
資材費の支払いが先に来る建設会社へ
受注はあるのに仕入れ資金が先に必要な場合は、注文書や請求書を使えるか先に確認しておくと資金ショートを避けやすくなります。
- 発注書・注文書・請求書のどれが手元にあるか整理する
- 入金予定日と、資材費・外注費の支払日を並べて確認する
- 融資や価格転嫁交渉と並行し、短期のつなぎ資金として使うか判断する
契約前に、手数料・入金日・償還請求権の有無・追加費用を必ず書面で確認してください。
注文書ファクタリングが建設業に向いている3つの理由
受注段階で資金化できる・発注元の信用で審査が通る・元請に知られずに済む。この3点が建設業の資金繰り問題を的確にカバーします。
「ファクタリングって怪しくない?」という声をよく聞きます。ファクタリングは債権譲渡という民法上の取引であり、貸金業ではありません。経済産業省もファクタリングを「企業の資金繰りを支援する有効な手段」として位置づけています。悪質業者を避けるポイントは、①手数料を契約前に書面で提示すること、②給与ファクタリング(給与を売る)ではないこと、③2社間・3社間いずれか明確に説明できること、の3点です。
注文書ファクタリングを検討するなら、注文書だけで簡単に通ると考えない方が安全です。発注元の信用力、工事内容、請求までの期間、手数料を払っても粗利が残るかを見ます。使える可能性はありますが、請求書型より慎重に判断してください。
工事完了前・請求書発行前でも資金化できる
通常のファクタリングは「請求書」が必要です。つまり工事が完了し、請求書を発行した後でなければ利用できません。
注文書ファクタリングは違います。受注時点で手元にある注文書・発注書をもとに資金調達ができるため、工事開始前の資材仕入れ資金を確保できます。
資材高騰が続く今、「受注はあるのに仕入れ資金がない」という状況を解消できる点は大きなメリットです。見積もり時の価格で資材を早期に確保すれば、値上がり前に仕入れを完了できる可能性もあります。
発注元(元請・官公庁)の信用力で審査が通りやすい
注文書ファクタリングの審査では、資金を受け取る側(下請け業者)の信用力よりも、発注元(元請け・官公庁)の信用力が重視されます。
建設業の場合、発注元は大手ゼネコンや官公庁であることが多く、これらの発注元は高い信用力を持っています。そのため、自社が創業間もない状態や赤字決算であっても、発注元の信用力によって審査が通りやすくなります。
銀行融資では「自社の決算書」が最も重要な審査基準ですが、ファクタリングでは「取引先の支払い能力」が審査の軸になるという構造的な違いがあります。
元請に知られない2社間方式が選べる
ファクタリングには2社間方式と3社間方式があります。2社間方式であれば、発注元(元請け)に通知せずに資金調達が可能です。
建設業では元請けとの関係性が事業の生命線です。「資金繰りが厳しいのではないか」と思われることへの懸念から、ファクタリングの利用を躊躇する業者も少なくありません。2社間方式であれば、取引先に知られることなく資金を確保できます。
手数料は3社間方式より高くなりますが、取引関係を維持しながら資金繰りを改善できる点は、下請け業者にとって実務上の大きなメリットです。
「銀行の審査待ちで来月の資材費が間に合わない」「受注はあるのに仕入れ資金が足りない」という状況であれば、注文書ファクタリングは最短即日〜数日で資金を確保できます。まず無料で相談だけでも、状況が変わることがあります。
建設資材高騰に関するよくある質問
よく寄せられる質問と回答をまとめました。
建築資材の値上げ一覧は2026年4月時点でどの品目を見るべきですか?
まず塩ビ管・ポリエチレン管、塗料・シンナー、断熱材、サッシ、床材、防水材、配線機器を確認してください。本記事では、建築資材 値上げ 一覧として主要品目の値上げ幅・実施時期・供給停止状況をまとめています。
建築資材不足の一覧を見るときは何を優先すべきですか?
工期に直結する水回り設備、塩ビ管・樹脂管、配線機器、塗料を優先して確認します。値上げ幅だけでなく、納期未定・受注停止・代替品の有無まで見ると、発注順と資金手当ての優先順位を決めやすくなります。
建築資材の値上げで資金繰りが苦しい場合、最初に何をすべきですか?
最初に、支払日、入金予定日、追加で必要な材料費を1枚にまとめてください。そのうえで、受注前なら注文書対応、請求後なら請求書対応、2〜4週間待てるなら融資や保証協会を優先する、という順番で検討します。
注文書ファクタリングは個人事業主(一人親方)でも利用できますか?
利用できます。注文書ファクタリングの審査は発注元の信用力が基準になるため、個人事業主であっても発注元が信用力のある企業(大手ゼネコンや官公庁等)であれば審査に通る可能性があります。ファクタリング会社によって対応範囲は異なりますので、事前に確認してください。
ファクタリングを使うと元請けに知られますか?
2社間方式を選べば、元請けへの通知なしで利用できます。2社間方式はファクタリング会社と自社の2者間で完結する仕組みで、取引先に資金繰りの状況を知られずに済みます。手数料は3社間方式より高めですが、取引関係への影響を避けたい場合に適しています。
資材の納入遅延で工期が延びる場合はどうすればよいですか?
まず、仕入れ先の納期回答、メーカー通知、代替品の確認記録を残してください。公共工事では、受注者の責めに帰すことができない納入遅延で工期延長が必要な場合、発注者へ書面で相談できる場合があります。民間工事では契約書の工期変更条項を確認し、口頭ではなくメールや書面で協議記録を残すことが大切です。
建設資材の値上がりはいつまで続きますか?
現時点では明確な終息時期は見通せません。中東情勢の安定化とナフサ価格の下落が確認されるまで、石油化学製品(塩ビ管・ポリエチレン管等)の高止まりは続く可能性が高いです。鉄鋼・合板についても世界的な需給バランスと為替の影響を受けるため、短期での価格下落は期待しにくい状況です。
「ナフサが6月に枯渇する」という情報は本当ですか?
経済産業省は、備蓄の放出や代替調達、川下在庫の活用、国内精製を合わせて、化学品全体の国内需要4か月分を確保していると説明しています。一方で、供給の偏りや流通の目詰まりは残るため、自社が使う品目の納期確認は別途必要です。
資材高騰分を元請けに価格転嫁できますか?
スライド条項が契約に盛り込まれていれば、一定の要件のもとで請負代金の変更を請求できます。国土交通省もスライド条項の積極的な活用を推奨しています。ただし、民間工事では契約書に明記されていないケースも多く、元請けとの個別交渉が必要になります。
建設資材を安く仕入れるための対策はありますか?
値上げ前のまとめ仕入れ、代替資材への切り替え、複数の仕入先からの相見積もりが基本的な対策です。ただし、まとめ仕入れには先行資金が必要になるため、注文書ファクタリング等で事前に資金を確保しておくことが前提条件になります。
情報が錯綜しているときほど、一次ソースに当たることが大切です。SNSの強い言葉より、メーカー通知、仕入れ先の見積書、経済産業省などの公的発表を見てください。資金繰りでは「本当に支払日までに資材が入り、請求できるか」が判断軸になります。
2026年後半の建設資材値上げ見通し
2026年後半(5〜12月)の建設資材価格は、中東情勢次第で3つのシナリオに分かれます。
①高止まりに備えるケース: 原油・ナフサ市況や為替が不安定な場合、塩ビ管・ポリエチレン管・塗料・配線機器などの価格改定が続く可能性があります。
②納期が読みにくいケース: 価格よりも受注停止・納期未定が問題になります。完工や請求書発行が遅れるため、資金繰り表で入金日を後ろ倒しして確認します。
③落ち着くケース: 市況が落ち着いても、メーカー・商社・販売店の価格改定や在庫に時間差が出ます。実際の見積有効期限と納期回答を確認してください。
いずれのシナリオでも、2026年内は現在より安くなるとは断言できない状況です。契約済み・受注済み案件を抱える事業者は、早期の資金確保と価格転嫁交渉を優先してください。
主要資材別:2026年後半の価格見通し
鉄鋼・形鋼: 国内電炉メーカーの電気代高騰と海外からの安値鋼材流入圧力が綱引き状態です。中国の過剰生産問題は継続しており、世界的な需給緩和の方向性があるものの、円安が輸入コストを押し上げている状況です。2026年後半は現行水準(2025年比8〜12%高)からの急落は見込みにくく、高止まりが続く見通しです。
木材・合板: 国産木材の供給拡大が進んでいる一方、輸入木材は為替の影響を受けやすい状況が続きます。国土交通省の「地域材活用促進」施策による需要拡大も加わり、合板価格は2025年比で5〜10%高い水準を維持する見込みです。秋以降に着工ラッシュが重なると一時的な品薄が起きるリスクもあります。
生コンクリート: 原材料(セメント・砂利・砂)の価格は比較的安定しているものの、製造・輸送のエネルギーコストが高止まりしており、価格水準は2025年比3〜7%高を維持する見通しです。地域によって需給が異なるため、工期の前倒し発注や確保が重要です。
塩ビ管・ポリエチレン管: ナフサ価格の動向に直接連動するため、最もボラティリティが高い品目です。現状維持シナリオでは値上げ幅(12〜20%増)がそのまま継続し、悪化シナリオでは追加値上げが発表される可能性もあります。
関税・為替が建設コストに与える影響
2026年4月から段階的に発動されている米国関税は、鉄鋼・アルミを中心に建設資材の国際価格に波紋を広げています。米国向け輸出が減少した中国・韓国製の鉄鋼が日本市場に流入し、国内鉄鋼メーカーの採算を圧迫するとともに、価格競争の不透明感が増している状況です。
円相場は2026年前半に1ドル=145〜155円台で推移しており、輸入材を主力とする品目(木材・一部の配線機器・エレベーター部材等)は為替コスト分だけ高止まりが続いています。円高方向への転換が確認されない限り、輸入依存度の高い資材の価格改善は見込みにくい状況です。
施工管理・建設会社が今取れる対策
価格の上振れリスクに備えるための現実的な対策として、以下の3点が有効です。
①早期発注・まとめ仕入れ: 2026年後半に値上げが想定される資材(塩ビ管・配線機器等)については、7〜8月の値上げ前に先行発注することで、単価上昇を回避できる可能性があります。ただし先行仕入れには先行資金が必要になります。
②スライド条項の確認と交渉: 公共工事を受注している場合は、契約約款にスライド条項が含まれているか確認し、国土交通省の推奨に沿って元請けへの価格変更申請を早めに行うことが重要です。
③受注後の早期資金確保でリスクをヘッジ: 資材費高騰局面では、「受注した時点の見積もり単価」と「実際の仕入れ時の単価」のギャップが損失になるリスクがあります。受注直後に注文書ファクタリングを活用して資金を確保し、見積もり単価に近い時期に資材を仕入れておくことが、コスト管理の観点からも有効な手段です。入金サイトが60〜90日ある下請け業者ほど、受注から入金までの期間に資材価格が上振れするリスクが高く、早期資金化のメリットが大きくなります。
🔑 解決策の理解と業者選びはこちらから:




あわせて、「ファクタリングってそもそも何?」を整理しておくと判断がスムーズです。


まとめ
2026年の建設資材高騰は、中東情勢を起点とするナフサ価格急騰と、長期的な鉄鋼・合板・生コンの上昇トレンドが重なった複合的な問題です。塩ビ管・ポリエチレン管(積水化学)にとどまらず、シンナー75%(日本ペイント)、配線制御機器最大80%(三菱電機)、サッシ4〜15%(LIXIL)、鋼材5〜10%など、2026年4月時点で20品目以上の値上げ・供給停止が確認されています。
「ナフサが6月に枯渇する」という情報は政府が公式に否定しており、少なくとも4か月分の供給は確保されています。ただし、経済産業省は必要量の確保を説明していますが、供給の偏りや流通の目詰まりが残る以上、建設現場では納期・価格・代替品を個別に確認する必要があります。デマに振り回されず、しかし価格高騰と供給リスクを正確に把握して行動することが重要です。
下請け建設業者にとって最も深刻なのは、資材費の上昇分を自社で吸収せざるを得ない構造と、60〜90日の入金サイトによる資金ギャップです。銀行融資・中小企業庁のセーフティネット支援・スライド条項も組み合わせながら、受注段階で資金を確保できる注文書ファクタリングを緊急の資金ギャップ対策として活用するのが現実的なアプローチです。
資材高騰の影響は長期化する見通しです。品目別の動向を継続的にチェックしながら、早めの資金調達手段の確保を進めてください。
- STEP1: 自社が使う主要資材の品目別値上げスケジュールを上記テーブルで確認し、影響を受ける工事案件を洗い出す
- STEP2: 手元に注文書(発注書)がある案件について、注文書ファクタリングで事前資金化できるか無料相談する
- STEP3: 元請けとの契約にスライド条項が入っているか確認し、入っていない場合は次回更新時に盛り込む交渉をする
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