ファクタリングおすすめ業者25社比較|手数料・審査で厳選【2026年版】

でんさいネットとは?手数料・登録方法・割引サービスを徹底解説

取引先から「でんさいに切り替える」と言われ、登録方法や手数料が分からず困っていませんか。この記事では、でんさいネットの仕組み・登録手順・手数料相場・ファクタリングとの使い分けを解説します。

この記事でわかること
  • でんさいネットの仕組みと他の電子債権記録機関との違い
  • 登録手順・手数料体系・でんさい割引サービスの全体像
  • でんさい・ファクタリング・手形割引の使い分け判断基準
目次

でんさいネットとは何か

このセクションのポイント
  • でんさいネットは全国銀行協会が100%出資した電子債権記録機関
  • 2008年12月1日施行の電子記録債権法に基づき、2013年2月に稼働開始
  • 発生記録・譲渡記録・口座間送金決済の3つの基本機能がある

でんさいネットの正式名称は株式会社全銀電子債権ネットワークです。一般社団法人全国銀行協会が100%出資して設立した、日本で唯一の全銀協系電子債権記録機関です。

2008年12月1日に施行された電子記録債権法に基づき、2013年2月18日に稼働を開始しました。紙の手形に代わる電子決済インフラとして、企業間の支払い・受取をデジタル化する役割を担っています。

2026年1月1日現在、参加金融機関は489機関に上ります(でんさいネット公式サイト参加金融機関一覧(2026年1月時点)より)。内訳は以下の通りです。

業態 機関数
都市銀行 5
地方銀行 61
信託銀行 1
第二地方銀行 35
信用金庫 253
信用組合 96
JA・信連・農中 36
その他(労金等) 2
合計 489

都市銀行から信用組合まで、日本の金融機関をほぼ網羅しています。私がFA会社で相談を受けていた当時、「うちの信用金庫でも使えるのか」と驚く経営者が多くいました。答えは「ほぼ確実に使えます」です。

でんさいネットには3つの基本機能があります。

発生記録:支払企業が受取企業に対する債務を電子記録原簿に登録します。手形の振出しに相当する手続きです。従来は手形用紙に金額・期日を記入して郵送する必要がありましたが、でんさいではインターネットバンキング上の操作だけで完結します。

譲渡記録:保有するでんさいを第三者へ譲渡する機能です。手形の裏書譲渡に相当しますが、分割譲渡も可能な点が大きな違いです。たとえば500万円のでんさいのうち200万円だけを取引先への支払いに充てるといった柔軟な使い方ができます。

口座間送金決済:支払期日に支払企業の口座から自動引き落としされ、受取企業の口座へ自動入金されます。手形の取立作業が不要です。銀行窓口に持ち込む手間も、取立手数料も発生しません。

私がFA会社で相談を受けていた当時、でんさいネットの存在自体を知らない経営者が半数以上でした。「手形の電子版ですよ」と説明すると、ほとんどの方が理解してくれました。実際、仕組みは手形と同じです。違いは「紙か電子か」だけだと考えて差し支えありません。

でんさいネットと他の電子債権記録機関の違い

このセクションのポイント
  • 電子債権記録機関はでんさいネット以外にも民間機関が存在する
  • 中小企業が使うならでんさいネット一択(全国489機関横断利用可能)
  • 民間記録機関は大企業グループ内のサプライチェーン金融向け

電子債権記録機関はでんさいネットだけではありません。SMBC電子債権記録(日本電子債権機構)やみずほ電子債権記録など、民間の記録機関も存在します。

FA会社時代、「うちの元請けはSMBCの電子記録を使っているが、でんさいと何が違うのか」という相談を受けたことがあります。最大の違いは「利用できる金融機関の範囲」です。

比較項目 でんさいネット 民間電子債権記録機関
運営主体 全国銀行協会(100%出資) 個別銀行グループ
参加金融機関 489機関(全国横断) 特定グループ内に限定
利用可能な企業 参加金融機関に口座があれば利用可 特定銀行の取引先に限定
中小企業の利用 適している 大企業グループ向け
割引・譲渡の自由度 高い(どの参加機関でも可能) グループ内に限定される場合あり

中小企業や個人事業主が利用するなら、金融機関を横断して使えるでんさいネット一択です。取引先のメインバンクが異なっていても、双方がでんさいネット参加機関に口座を持っていれば取引が成立します。民間記録機関は、大企業が自社グループのサプライチェーン金融を効率化するために利用するケースがほとんどです。

でんさいネットのメリット・デメリット

このセクションのポイント
  • 印紙税ゼロ・郵送不要・自動決済でコスト削減効果が大きい
  • 全取引先がでんさい対応でなければ手形との併用が必要
  • システム障害リスクと操作習熟コストも考慮すべき

FA会社に8年間勤務するなかで、でんさいネットの導入を支援した企業は数多くあります。その経験から、メリットとデメリットの両面を正直にお伝えします。

メリット

  • 印紙税が完全にゼロ。手形は1件あたり200円〜20万円の印紙税がかかりますが、でんさいは電子記録のため非課税です
  • 郵送・保管コストが不要。紙の手形は書留郵便で送付し、金庫で保管する必要がありましたが、でんさいはすべて電子処理です
  • 支払期日に自動入金。取立手続き不要で、受取企業の口座に自動で入金されます
  • 分割譲渡が可能。手形では不可能だった「一部金額だけ譲渡」ができます
  • 紛失・盗難リスクがゼロ。紙の手形にありがちな「手形を紛失した」というトラブルが起きません
  • 割引手数料がファクタリングより大幅に安い。年率2〜5%程度で資金化できます

デメリット

  • 全取引先がでんさい対応でなければ手形との併用が必要。でんさい未登録の取引先には従来通り手形で支払うしかないため、移行期間中は二重管理の負担が生じます。私のFA会社時代にも「半分はでんさい、半分は手形」という状態が1年以上続いた企業がありました
  • システム障害リスク。でんさいネットのシステムメンテナンスや障害発生時には、記録操作ができません。支払期日直前に障害が重なるリスクはゼロではありません
  • 操作習熟コスト。インターネットバンキングの操作に不慣れな経営者にとって、発生記録や譲渡記録の操作を覚えるまでに時間がかかります。特に60代以上の経営者からは「パソコンが苦手だから手形のほうが楽」という声を何度も聞きました
  • 銀行審査が必要。でんさいの利用開始・割引利用には金融機関の審査があり、赤字決算や税金滞納がある場合は審査に通りません
  • 償還請求権がある。でんさい割引を利用した場合、支払企業が倒産すると割引金額の全額返還を求められます

メリットはコスト面で圧倒的ですが、デメリットを把握したうえで導入判断をしてください。特に「取引先のでんさい対応状況」は、導入前に必ず確認してください。

でんさいネットへの参加方法(登録手順)

このセクションのポイント
  • 支払企業・受取企業で登録手順が異なる
  • 審査から利用者番号の付番まで通常1〜3週間かかる
  • 登録タイミングは「早ければ早いほど有利」

FA会社時代に「でんさいに登録したいが手順が分からない」という相談を受けた回数は数え切れません。特に従業員10名以下の建設会社や個人事業主にとって、金融機関への申込手続きは心理的なハードルが高いようでした。実際の手順はそれほど複雑ではありません。

支払企業(発生記録側)の登録手順

元請けや発注企業として、でんさいを支払手段に使い始める場合の手順です。

1

利用申込書の提出

取引金融機関の窓口またはオンラインで、でんさいネット利用申込書を提出します。多くの金融機関では、法人インターネットバンキングの申込みと同時に手続きできます。

2

金融機関による審査

決算書・財務状況・取引実績が審査対象です。支払企業として発生記録を行うため、支払能力の確認が重点的に行われます。

3

利用者番号(でんさいID)の付番

審査通過後、利用者番号が付番されます。この番号が取引先との紐付けに使われます。

4

サービス利用開始

インターネットバンキング経由ででんさいの発生記録が可能です。初回は金融機関の担当者に操作方法を教えてもらうことをお勧めします。

金融機関での審査から利用者番号の付番まで、通常1〜3週間かかります。急な資金調達には間に合わないため、利用企業は余裕を持った申込みが必要です。

発生記録の手続きは支払企業だけで完結します。受取企業がでんさいネット未登録でも、でんさいの発生自体は可能です。ただし受取側が割引や譲渡を使うには、受取側の登録が別途必要です。

受取企業(下請け・個人事業主)の登録手順

元請けから「でんさいで払う」と言われた場合、受取側として登録する手順です。

  1. 自社のメインバンクがでんさいネット参加機関かどうかを確認する(でんさいネット公式サイトで一覧を確認できます)
  2. 参加金融機関の窓口で利用申込みを行う
  3. 審査を受ける(財務状況・取引実績・信用情報が対象)
  4. 利用者番号の付番を受け、ログイン確認
  5. 割引利用の予定があれば、同時に割引限度額の審査も申請する

登録に必要な書類一覧

必要書類 法人 個人事業主
本人確認書類(代表者)
登記簿謄本(履歴事項全部証明書) 不要
決算書(直近2期分)
確定申告書(直近2期分・青色)
印鑑証明書
事業実態確認書類(開業届等) 場合による

個人事業主の場合、白色申告では審査に通りにくい傾向があります。青色申告で2期以上の実績があることが望ましいです。FA会社時代、白色申告の個人事業主がでんさい登録を断られ、急遽ファクタリングで資金化したケースがありました。審査書類の準備は万全にしておくべきです。

登録タイミングの注意

元請けから「でんさいに切り替える」と通告されてから登録を始めると、審査期間(1〜3週間)が間に合わない場合があります。受取企業の登録が間に合わなかった場合、支払期日のでんさいが自動入金されるだけで、割引や譲渡の機能は使えません。主要取引先が手形廃止を検討している兆候があれば、先手を打って登録しておくべきです。

でんさいネットの手数料体系

このセクションのポイント
  • 手数料は金融機関ごとに異なるが、記録ごとの課金(月額料なし)
  • 手形と比較して年間数十万円のコスト削減が見込める
  • 信用金庫は記録手数料が安いが割引率は高め

でんさいの手数料は金融機関ごとに異なるため、事前確認が欠かせません。私がFA会社にいた頃、「でんさいの手数料がいくらか分からないからファクタリングを使った」という企業が少なからずいました。手数料体系を正確に把握していれば、もっと安い方法を選べたケースは多いです。以下の手数料データは、2026年1月時点の各行公式料金表を参考に作成しています。

基本手数料(記録手数料)

手数料の種類 相場 負担者
発生記録手数料 220〜880円/件 支払企業
譲渡記録手数料 220〜880円/件 譲渡する企業
変更記録手数料 220〜440円/件 申請企業
口座間送金決済手数料 0〜440円/件 受取企業

月額利用料は基本的にかかりません。発生する費用は記録ごとの手数料のみです。件数ベースの課金体系のため、1件あたりの取引金額が大きいほど割安です。

なお、2026年1月1日施行の中小受託取引適正化法(旧下請法改正)では、受取側(下請け)への手数料転嫁が規制されています。発生記録手数料を負担させられた場合は、公正取引委員会に相談してください。元請けから手数料負担を求められた場合は、公正取引委員会への相談を検討してください。

金融機関別の手数料比較

金融機関タイプ 発生記録手数料 譲渡記録手数料 割引手数料(年率目安)
メガバンク 440〜770円 440〜770円 年率1.5〜4%
地方銀行 330〜660円 330〜660円 年率2〜5%
信用金庫 220〜550円 220〜550円 年率3〜7%
信用組合 220〜440円 220〜440円 年率3〜8%

信用金庫・信用組合は記録手数料が安い傾向にありますが、割引手数料(年率)はメガバンクより高くなる場合があります。取引規模や既存の取引関係によっても変わるため、メインバンクに直接確認するのが確実です。

私の経験では、地方銀行をメインバンクにしている中小企業が最もバランスの取れた手数料体系で利用できているケースが多いです。記録手数料も割引率も「中間」に位置するためです。

手形コストとの比較

約束手形にかかるコストと、でんさいのコストを年間100件の取引(1件あたり500万円)で試算します。

コスト項目 約束手形(年間100件) でんさい(年間100件)
印紙税(500万円×100件) 200,000円(2,000円×100) 0円
取立手数料 約66,000円(660円×100) 0円(自動決済)
郵送費(書留等) 約50,000円(500円×100) 0円
記録手数料 0円 約44,000円(440円×100)
合計 約316,000円 約44,000円

年間100件の手形取引をでんさいに置き換えるだけで、約27万円のコスト削減が見込めます。取引件数が多い企業ほど、この差はさらに広がります。FA会社時代に試算を見せた経営者の多くが「なぜもっと早く切り替えなかったのか」と口にしていました。

でんさい割引とは

このセクションのポイント
  • でんさい割引は支払期日前にでんさいを金融機関に売却して資金化するサービス
  • ファクタリングと比べて手数料が大幅に安い(年率2〜5%程度)
  • ただし償還請求権があるため、支払企業の倒産リスクは受取企業が負う

でんさい割引は、保有するでんさいを支払期日前に金融機関へ売却し、早期に資金化するサービスです。概念は手形割引と同じですが、電子処理のため事務手続きが大幅に簡素化されています。

FA会社に在籍していた当時、でんさい割引の存在を知らずにファクタリングを利用した企業がありました。500万円の売掛金をファクタリング(2社間・手数料15%)で資金化した結果、手数料は75万円。もしでんさい割引(年率3%・60日)を使っていれば、手数料は約2.5万円で済んだ計算です。この差額を知ったときの経営者の表情は、今でも忘れられません

でんさい割引の仕組み

  1. 支払企業がでんさいネットに発生記録を行います(例:500万円・支払期日90日後)
  2. 受取企業がでんさいを受け取ります
  3. 受取企業が資金を早期に必要とする場合、取引金融機関にでんさい割引を申込みます
  4. 金融機関が割引率を適用し、額面から割引料を差し引いた金額を受取企業に振り込みます
  5. 支払期日に支払企業の口座から自動引き落としが行われ、金融機関が回収します

割引手数料(割引率)の相場

割引機関の種別 年率の目安 向いている企業
メガバンク 年率1.5〜4% 財務良好な中堅〜大企業
地方銀行 年率2〜5% 地場の中小企業
信用金庫・信用組合 年率3〜7% 小規模事業者・個人事業主
ノンバンク系 年率5〜15% 銀行審査が通りにくい企業

計算式:割引料 = 額面金額 × 割引日数 × 割引率(年率) ÷ 365

計算例:500万円のでんさい、残り60日、年率3%の場合
500万円 × 60日 × 3% ÷ 365 ≒ 24,657円

でんさい割引のメリットと注意点

メリット

  • 手数料がファクタリングより大幅に安い
  • 分割割引が可能(500万円のうち300万円だけ割引する等)
  • 電子処理で申込みから入金まで迅速
  • 手形割引のような郵送・取立手続きが不要

償還請求権に関する重要な注意点

でんさい割引には償還請求権があります。支払企業が倒産し、支払期日にでんさいが決済されなかった場合、割引を受けた金融機関から受取企業に対して割引金額の全額返還を求められます。この点がノンリコース型ファクタリングとの最大の違いです。支払企業の信用力に不安がある場合は、でんさい割引ではなくノンリコース型ファクタリングを選ぶことが合理的です。

でんさい割引の審査落ちパターン

FA会社で相談を受けるなかで、でんさい割引の審査に落ちる企業には共通パターンがありました。以下は実務で何度も見てきた典型的なケースです。

  • 債務者(支払企業)の信用力不足:でんさい割引は債務者の支払能力が審査の大前提です。支払企業が赤字決算・債務超過の場合、受取企業がどれだけ優良でも割引を断られることがあります
  • 記録内容の不備:発生記録の金額・期日・債務者情報に誤りがあると、割引申込みが受理されません。支払企業に修正を依頼することになりますが、修正に時間がかかり資金化が遅れるケースが多いです
  • 受取企業自身の財務悪化:償還請求権があるため、受取企業の返済能力も審査されます。直近で大幅な赤字を計上した場合、割引限度額が引き下げられることがあります
  • 割引限度額の超過:金融機関が設定した割引限度額を超える申込みは認められません。限度額は年1回の見直しが一般的ですが、業績悪化時は随時引き下げられる場合もあります

受取企業が審査に落ちた場合の代替手段として、後述する「でんさいファクタリング」を検討してください。

でんさい vs ファクタリング vs 手形割引の使い分け

このセクションのポイント
  • でんさい割引はコスト最安だが銀行審査・取引先登録が前提
  • ファクタリングは審査が柔軟で即日対応可能だが手数料が高い
  • 状況に応じた使い分けが最善の資金調達戦略

「でんさいとファクタリングは何が違うのですか」。FA会社の相談窓口で、私が最も多く受けた質問がこれでした。両者は「手数料の安さ」と「審査の柔軟さ」でトレードオフの関係にあります。

三者比較表

比較項目 でんさい割引 ファクタリング(2社間) 手形割引
手数料 年率2〜15%(安い) 10〜30%(高い) 年率2〜15%(同程度)
500万円60日の場合 約2.5万〜12.3万円 50万〜150万円 約2.5万〜12.3万円
償還請求権 あり なし(ノンリコース) あり
資金化スピード 数日〜1週間 最短即日 数日〜1週間
取引先への通知 不要 不要 不要
取引先のでんさい登録 必要 不要 不要(手形が必要)
審査の柔軟さ 銀行審査あり 柔軟(赤字・税滞納も可) 銀行審査あり
分割対応 可能 柔軟に対応 不可

状況別の最適解

企業の状況 推奨手段 理由
銀行審査OK+でんさい登録済み でんさい割引 コストが最も安い
今日・明日中に資金が必要 ファクタリング(2社間) 最短即日で入金可能
赤字決算・税金滞納中 ファクタリング 銀行審査不要で利用可能
支払企業の倒産リスクが高い ファクタリング(ノンリコース) 償還請求権なしで売却可能
でんさい受取済みだが銀行審査NG でんさいファクタリング でんさい債権をFA会社に売却
手形を保有している 手形割引 手形をそのまま割引に出せる
コストを最小限に抑えたい でんさい割引 年率2〜5%の低コスト

判断フローチャート

どの資金化手段を選ぶべきか迷ったときは、以下のフローで判断してください。FA会社での8年間の実務経験をもとに、最も合理的な判断順序をまとめました。

Step 質問 YESの場合 NOの場合
1 取引先はでんさい登録済みか? → Step2へ → Step4へ
2 銀行の割引審査に問題ないか? でんさい割引が最安 → Step3へ
3 でんさいFA会社の審査に通るか? → でんさいファクタリング(手数料5〜15%) → Step4へ
4 即日資金化が必要か? 2社間ファクタリング(最短即日) → Step5へ
5 手形を保有しているか? → 手形割引 → 通常の売掛金ファクタリング

原則として、でんさい割引 → でんさいファクタリング → 通常ファクタリングの順でコストが安い方法を選ぶのが鉄則です。ファクタリングは「最後の手段」ではなく「状況に応じた最適解」として位置づけてください。

でんさいファクタリングとは

でんさいファクタリングとは、保有するでんさいをファクタリング会社に売却して資金化する方法です。銀行でのでんさい割引審査に通らなかった場合の代替手段です。

でんさいは電子記録原簿で債権の存在が証明されています。そのため通常の売掛金よりもファクタリング会社にとってリスクが低く、手数料が抑えられる傾向にあります。2社間ファクタリングの一般的な手数料(10〜30%)と比べて、でんさいファクタリングは5〜15%程度で利用できるケースが多いです。

でんさいファクタリングは「銀行のでんさい割引」と「通常のファクタリング」の中間に位置するサービスです。銀行割引ほど安くはありませんが、通常FAより手数料は安いです。銀行審査に落ちた場合の「次善の策」として覚えておくと便利です。

FA会社時代、建設業の下請け企業が銀行のでんさい割引を断られた際に、でんさいファクタリングで手数料8%での資金化に成功した事例があります。通常の2社間FAなら18%前後を提示されていた案件でしたので、でんさいであるだけで10%近い手数料差が出ました。

でんさいネットに関するよくある質問

よく寄せられる質問と回答をまとめました。

でんさいネットの利用に月額料金はかかりますか?

基本的に月額料金は発生しません。でんさいネットの利用料は、発生記録や譲渡記録を行うたびにかかる記録手数料のみです。

個人事業主でもでんさいネットに登録できますか?

登録できます。ただし法人と比べて審査が厳しくなる傾向があります。

でんさいの支払期日は最長何日ですか?

でんさいネット上の支払期日に法定の上限は設けられていません。ただし、2026年1月施行の中小受託取引適正化法(旧下請法)により、下請代金のサイト60日超は行政指導の対象です。

取引先がでんさいネット未登録の場合はどうなりますか?

支払企業(元請け)側がでんさいネットに登録していなければ、そもそもでんさいは発生しません。受取企業側が未登録の場合は、支払企業が発生記録を行うことは可能ですが、受取企業は割引や譲渡ができません。

でんさいの分割譲渡に回数制限はありますか?

でんさいネット上の仕組みとして分割譲渡の回数制限は設定されていません。500万円のでんさいを200万円・150万円・150万円の3つに分割するといった使い方も可能です。

でんさいの不渡り(支払不能)が起きた場合どうなりますか?

支払期日に支払企業の口座残高が不足し、でんさいが決済されなかった場合、「支払不能」として処理されます。6ヶ月以内に2回の支払不能を起こすと、でんさいネットにおける取引停止処分(2年間)の対象です。

でんさいネットとファクタリング、どちらを先に検討すべきですか?

銀行との取引関係が良好で、財務状況に問題がなければ、まずでんさいネットへの登録を検討すべきです。手数料はファクタリングより大幅に安いためです。

でんさいに切り替えを要求されたが、登録が間に合わなかった場合はどうすればいいですか?

元請けに状況を説明し、登録完了までの期間について猶予をもらうことが最優先です。多くの場合、1〜2週間の猶予は認められます。

まとめ

まとめ
  • でんさいネットは全銀協が設立した電子債権記録機関で、489の金融機関が参加
  • 手形からでんさいへの切り替えで年間約27万円のコスト削減(500万円×100件/年の試算前提)
  • でんさい割引は年率2〜5%でファクタリング(10〜30%)より大幅に安い
  • ただし銀行審査・取引先登録・償還請求権の3点はファクタリングにないデメリット
  • でんさい割引とファクタリングは「補完関係」。両方を準備しておくのが最善策

でんさいネットは、中小企業が利用できる最もコストの低い電子決済・資金化インフラです。年間100件の手形取引(1件あたり500万円、合計5億円)をでんさいに置き換えるだけで、約27万円のコスト削減が見込めます。

でんさい割引の手数料は年率2〜5%と、ファクタリング(10〜30%)に対して圧倒的な価格優位性があります。500万円・60日のでんさいを割引した場合の手数料は約2.5万円。同じ金額をファクタリング(手数料15%)で資金化すれば75万円です。この差は経営判断として無視できません

ただし、でんさいネットは万能ではありません。銀行審査が必要であること、取引先のでんさいネット登録が前提であること、償還請求権があることは、ファクタリングにはないデメリットです。即日資金化が必要な場面や、赤字決算・税金滞納で銀行審査が通らない場合は、ファクタリングが有効な選択肢です。

登録のタイミングは「早ければ早いほど有利」です。元請けから通告されてから動くのでは、審査期間(1〜3週間)が間に合わないリスクがあります。2027年3月末の約束手形廃止目標に向けて、手形からでんさいへの切り替えは加速しています。財務状況が良好な今のうちに、メインバンクでの登録を済ませておくことを強く推奨します。

でんさいとファクタリングは「敵」ではなく「補完関係」です。通常の資金繰りにはコストの安いでんさい割引を使い、緊急時や審査が通らない場面ではファクタリングを使う。この二段構えの体制を整えておくことが、中小企業の資金繰り安定化の最善策です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

元地方銀行員、元ファクタリング会社審査部。銀行員時代は4年間で200社超の決算書を審査。転職後のファクタリング会社では営業・審査を合わせて8年、累計約4,000件の案件に携わった。「業者がどこを見ているか」を審査担当者の立場で知っている。日商簿記2級・FP2級保有

コメント

コメントする

目次