取引先から「今後でんさいで支払います」と突然言われたとき、どう対応すればよいか迷うケースは少なくありません。
でんさい(電子記録債権)は、紙の手形でも銀行振込でもない第三の支払手段です。
印紙税が不要で、紛失・盗難リスクもなく、資金化の手数料が通常のファクタリングより大幅に低くなるケースがあります。
この記事では、元ファクタリング会社勤務の筆者が以下の内容を解説します。
- でんさいの仕組みと手形・売掛金との違い
- 手数料の相場と割引料の計算方法
- ファクタリング・手形割引との三者比較
- 2027年3月末の手形廃止目標と業種別の影響
- 支払側・受取側それぞれの登録手順
- でんさいの仕組みと発生から決済までの流れ
- 手数料・割引料の相場と費用感
- ファクタリング・手形割引との具体的な違いと使い分け
でんさいとは何か
でんさいの正式名称は電子記録債権です。
2008年に施行された「電子記録債権法」に基づく金融取引の手段で、従来の手形・売掛金とはまったく異なる仕組みで運用されています。
運営するのは株式会社全銀電子債権ネットワーク(通称:でんさいネット)です。
全国銀行協会が100%出資して設立した電子債権記録機関で、2013年の稼働開始から10年以上が経過しています。
現在は都市銀行から地方銀行・信用金庫・信用組合まで、幅広い金融機関が参加しています。 2024年の発生記録請求件数は約803万件(前年比113万件増)、利用契約件数は約70.2万件に達し、年々利用が拡大しています(でんさいネット統計情報)。

手形・売掛金との根本的な違い
従来の企業間決済には主に2つの方法がありました。
約束手形:紙の有価証券です。振り出しから決済まで3〜6ヶ月のサイトが一般的で、印紙税が必要であり紛失・盗難リスクもあります。
売掛金(請求書払い):書面による信用取引です。譲渡に制限がある場合が多く、資金化が難しい面があります。
でんさいはこの両方の問題を解決します。電子記録原簿への登録で成立するため、紙が不要で印紙税もかかりません。譲渡も電子的に完結し、紙の受け渡しは一切不要です。
でんさいで何ができるか
でんさいには主に5つの機能があります。
- 発生記録:売掛金や手形の代わりに、でんさいとして電子登録する
- 譲渡記録:保有するでんさいを第三者へ譲渡する(手形の裏書に相当)
- 分割記録:1つのでんさいを複数に分けて管理・譲渡する
- 担保設定:でんさいを担保として融資を受ける
- 割引:支払期日前に金融機関へ売却して早期資金化する
実務上とくに重要なのが「分割記録」と「割引」の2つです。手形にはなかった分割機能により、必要な金額だけを切り出して資金化できます。
たとえば建設業の下請け企業が500万円のでんさいを受け取ったとします。
300万円と200万円に分割し、300万円だけ割引して資材費に充てることが可能です。残り200万円は支払期日まで保有し、コストゼロで入金を待てます。
手形ではこうした柔軟な運用はできません。
でんさいの仕組み:図解
上図のように、でんさいは「でんさいネット」が電子記録原簿を管理する仕組みです。
発生側(B社)・受取側(A社)ともに、取引金融機関を通じてでんさいネットに登録している必要があります。
でんさいの仕組み(発生→譲渡→決済の流れ)
でんさいの取引フローを、建設会社を例に説明します。
発生記録:でんさいの誕生
建設会社A社が、元請けのB社から工事代金500万円の支払いを受けるケースを考えます。
- B社(支払企業)が取引金融機関のネットバンキングから「でんさいを発生させたい」と申請する
- でんさいネットの電子記録原簿に「A社に対して500万円、支払期日○月○日」と記録される
- A社(受取企業)の口座に通知が届き、でんさいを確認できる状態になる
この時点で、A社は500万円のでんさいを保有していることになります。
重要な点として、発生側(B社)・受取側(A社)ともに取引金融機関を通じてでんさいネットに登録している必要があります。
A社が未登録の場合、でんさいの受取・割引・譲渡はできません。
譲渡記録:でんさいを移転する
A社がでんさいをそのまま持ち続けることもできますが、資金繰りが必要なら別の企業C社へ譲渡することもできます。
- 紙の受け渡しは不要で、電子記録原簿への記録変更だけで完結します
- 分割譲渡も可能です(例:500万円のでんさいを300万円と200万円に分けて2者へ譲渡)
- 譲渡手続きはネットバンキング上で完結し、郵送作業は一切ありません
分割譲渡は従来の手形にはなかった機能で、資金計画の柔軟性が大幅に向上します。
支払期日の自動決済
でんさいの決済は自動処理されます。
- 支払期日当日、B社の口座から自動引き落とし
- A社(または最終保有者)の口座に自動入金
- 取立作業・郵送作業は一切不要
この自動化が事務コスト削減に直結します。手形の場合は取立依頼・郵送・確認という複数のステップが必要でしたが、でんさいではそれがゼロになります。
実務の現場では、手形管理に毎月10時間以上の工数をかけていた経理部門が、でんさい移行後にほぼゼロになった事例もあります。
郵送ミスや取立漏れのリスクがなくなる点も、移行の大きなメリットです。
手形決済とでんさい決済の比較
| 項目 | 約束手形 | でんさい |
|---|---|---|
| 紙の有無 | 必要 | 不要 |
| 印紙税 | 必要(200円〜) | 不要 |
| 紛失リスク | あり | なし |
| 分割譲渡 | 不可 | 可能 |
| 取立作業 | 必要 | 自動 |
| 決済確認 | 手動 | 自動通知 |
| 担保設定 | 手続き複雑 | 電子的に可能 |
でんさいのメリット・デメリット

メリット6つ
1. 印紙税が不要
手形には額面金額に応じた印紙税がかかります。300万円超500万円以下の手形なら1,000円です。
年間100枚振り出す企業なら、でんさいに切り替えるだけで年間数十万円のコスト削減になります。
2. 紛失・盗難リスクがゼロ
電子記録原簿に記録された債権は、物理的に消失する概念がありません。手形の郵送事故や保管ミスによるトラブルが根本からなくなります。
3. 分割譲渡・一部割引が可能
500万円のでんさいを300万円と200万円に分けて売却できます。手形では全額か0かの二択でしたが、でんさいなら必要な額だけ資金化できます。
4. 事務コストの大幅削減
手形の印刷・保管・取立依頼・郵送がすべて不要になります。担当者の工数換算で月数時間の業務削減になる企業も珍しくありません。
5. ファクタリングより手数料が安い
でんさい割引の手数料は年率2〜15%が相場です。ファクタリングの2社間(10〜30%)と比べると、コスト面での優位性は明らかです。
6. 割引しない場合はコストがほぼゼロ
でんさいを受け取っても、割引(早期資金化)しない選択肢があります。支払期日まで保有して自動入金を待つだけでよく、受取側にとってはコストがかかりません。
デメリット3つ
1. 受取側のでんさいネット登録が必須
でんさいを受け取る側(下請け・受注側)も、取引金融機関を通じたでんさいネット登録が必須です。
受取企業が未登録の場合、でんさいの受取・割引・譲渡はできません。受取側も早めに登録を済ませておく必要があります。
2. 参加金融機関での審査が必要
利用を開始するには取引銀行での審査を通過しなければなりません。決算書・財務状況が審査対象となるため、業績が悪化している場合は審査に通らない可能性があります。
3. 償還請求権がある
でんさい割引は、万が一支払企業が倒産した場合、割引した金融機関から代金返還を求められる償還請求権ありの取引です。
ファクタリング(ノンリコース)とは異なり、信用リスクは受取企業が負います。
手数料コストだけでなく、リスク面の違いも事前に把握しておくことが大切です。
でんさいの手数料・割引料の相場
基本手数料(記録手数料)
でんさいの発生記録・譲渡記録には、金融機関ごとに手数料がかかります。
| 手数料の種類 | 相場 | 負担者 |
|---|---|---|
| 発生記録手数料 | 220〜880円/件 | 支払側(元請け) |
| 譲渡記録手数料 | 220〜880円/件 | 譲渡者 |
| 割引手数料(年率) | 2〜15% | 割引依頼者(受取側) |
記録手数料は件数ベースのため、取引金額が大きいほど割安になります。
発生記録手数料は支払企業(元請け)が負担するのが一般的で、受取側がこの手数料を直接負担するケースは少ないです。
印紙税の節約額:約束手形との比較
でんさいに移行することで節約できる印紙税の金額を確認します。
| 手形金額 | 手形の印紙税 | でんさい | 節約額/枚 |
|---|---|---|---|
| 100万円超200万円以下 | 400円 | 0円 | 400円 |
| 200万円超300万円以下 | 600円 | 0円 | 600円 |
| 300万円超500万円以下 | 1,000円 | 0円 | 1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 2,000円 | 0円 | 2,000円 |
| 1,000万円超2,000万円以下 | 4,000円 | 0円 | 4,000円 |
年間100枚の手形を振り出す企業(平均500万円/枚)なら、印紙税だけで年間20万円のコスト削減になります。
でんさい割引の年率幅を理解する
| 割引機関の種別 | 年率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 銀行系(メインバンク) | 年率2〜5% | 財務状況が良好な企業向け。最も安い |
| 信用金庫・信用組合 | 年率3〜7% | 地域密着型。中小企業の利用が多い |
| ノンバンク系 | 年率5〜15% | 審査が柔軟。財務が弱い企業でも対応 |
でんさい割引の計算式
でんさい割引の実際のコストは以下の式で計算します。
割引料 = 額面金額 × 割引日数 × 割引率(年率) ÷ 365
計算例:500万円のでんさい、残り60日、割引率年率3%の場合
500万円 × 60日 × 3% ÷ 365 ≒ 24,657円
コストは約2.5万円です。500万円を60日前に資金化して2.5万円の手数料は、ファクタリングと比べると圧倒的に安い水準です。
ファクタリングとの手数料比較
同じ条件(500万円・60日)でファクタリングを使った場合の比較です。
- 2社間ファクタリング:手数料10〜20%想定 → 50万〜100万円
- 3社間ファクタリング:手数料2〜9%想定 → 10万〜45万円
- でんさい割引(年率3%):約2.5万円
| 手段 | 手数料 | 実コスト |
|---|---|---|
| でんさい割引(年率3%) | 500万×60÷365×3% | 約2.5万円 ★最安 |
| 手形割引(年率5%) | 500万×60÷365×5% | 約4.1万円 |
| 3社間ファクタリング | 額面の2〜9% | 10〜45万円 |
| 2社間ファクタリング | 額面の10〜30% | 50〜150万円 ★最高 |
※でんさい割引は銀行審査必須・償還請求権あり / ファクタリングは審査柔軟・償還請求権なし(ノンリコース)
でんさい割引のコスト優位性は圧倒的です。ただし「取引先の登録」「審査」「償還請求権」という制約があります。
即日資金化や赤字企業への対応ではファクタリングが有効な場面もあります。
財務状況が良好であればあるほど、でんさい割引のコスト削減効果は大きくなります。



でんさい vs ファクタリング vs 手形割引 三者比較
| 比較項目 | でんさい割引 | ファクタリング(2社間) | 手形割引 |
|---|---|---|---|
| 手数料 | 年率2〜15%(安い) | 10〜30%(高い) | 年率2〜15%(同程度) |
| 償還請求権 | あり | なし(ノンリコース) | あり |
| 資金化スピード | 数日〜1週間 | 最短即日 | 数日〜1週間 |
| 取引先への通知 | 不要 | 2社間なら不要 | 不要 |
| 取引先の登録 | 必要(両者登録) | 不要 | 不要 |
| 審査 | 銀行審査あり | 柔軟(赤字・税滞納も可) | 銀行審査あり |
| 電子化 | 完全電子 | 契約による | 紙ベース(一部電子) |
| 分割対応 | 可能 | 柔軟に対応 | 不可 |
使い分けの結論
でんさい割引を選ぶべきケース:
- 取引先がでんさいネットに登録済み
- 銀行審査を通過できる財務状況
- コストを最小化したい
- 定期的な資金繰り改善が目的
ファクタリングを選ぶべきケース:
- 即日の資金調達が必要
- 赤字・税金滞納・債務超過でも使いたい
- 取引先のでんさい登録がない
- 倒産リスクを売却先に移したい(ノンリコース)
決済サイクルの違いも重要
でんさいの決済サイクルは取引条件によって異なります。主なパターンを整理します。
でんさいの代表的な決済サイクル
| 月末締め翌月末払い | 最も一般的。例:3月分 → 4月30日に自動決済 |
| 月末締め翌々月末払い | 建設業に多い。例:3月分 → 5月31日に自動決済 |
| 20日締め翌月20日払い | 製造業に多い。例:3月20日締め → 4月20日に自動決済 |
※支払期日当日に自動決済。取立依頼・郵送は一切不要
でんさいに移行した場合でも、決済サイクル(支払条件)自体は従来の手形と同じ条件を維持できます。
「でんさいに変わると入金が遅くなる」という誤解がありますが、支払期日が変わるわけではありません。
でんさいと約束手形廃止2026年の関係
約束手形廃止の背景
2026年度末(2027年3月末)を目標に、日本では約束手形の利用廃止が推進されています。
廃止の理由は「社会コストの削減」です。手形の振出・保管・取立・管理に関わるコストは経済全体で膨大な金額に上ります。
経済産業省・金融庁・中小企業庁が連携してデジタル化を推進しており、その主な代替手段がでんさいです(参照:ミロク情報サービス)。
廃止スケジュールと現状
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2021年 | 3省庁が2026年度末をめどに手形廃止を宣言 |
| 2024年11月〜 | 下請法改正:手形サイト60日超は行政指導対象に |
| 2026年1月 | 中小受託取引適正化法(取適法)施行。受領日から60日以内の金銭支払いが義務化(でんさいネット公式) |
| 2026年(現在) | 大手企業を中心にでんさい移行が加速中。発生記録件数は年間803万件超 |
| 2027年3月末 | 約束手形廃止目標(業界自主規制) |
業種別の影響
建設業:完成払い・出来高払いで長期サイトの手形が多用されてきました。でんさい移行は急務ですが、一人親方・小規模事業者が取引先に登録を依頼しにくい実態もあります。
製造業:大企業の一次請けから三次請けまで、サプライチェーン全体でのでんさい対応が必要です。大企業主導で移行が比較的スムーズに進んでいます。
運送業:荷主企業との取引が主軸です。荷主側のでんさい未登録が移行のボトルネックになりやすい状況です。
取適法(2026年1月施行)がでんさいに与える影響
2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法(取適法)は、旧下請法を大幅に強化した法律です。
取適法では、委託者(元請け)は受領日から60日以内に金銭で満額支払うことが義務付けられています。
でんさいを支払手段として使う場合、満期日が支払期限を超えていると違反になる可能性があります。受取企業が満期日前に割引しなければ60日以内に金銭を受領できない設定は、取適法の趣旨に反します。
支払側(元請け)は、でんさいの満期日を受領日から60日以内に設定する必要があります。従来120日サイトで手形を振り出していた企業は、でんさい移行と同時にサイト短縮も求められます。
受取側(下請け・個人事業主)が直面する現実
大手企業が「来期から手形を廃止してでんさいに切り替える」と宣言すれば、下請けには事実上の選択肢がありません。断れば取引を失うリスクがあります。
実際、製造業・建設業の中小事業者から「元請けに言われてでんさいを登録することになった」という相談が増えています。受取側として今すべきことは明確です。
受取側(下請け・個人事業主)の即時行動リスト
- 主要取引先の決済手段を確認し、でんさい移行の予定を把握する
- 自社のメインバンクがでんさいネット参加機関かどうか確認する
- 余裕のあるうちに登録申込みを済ませておく(審査に1〜3週間かかる)
- でんさいの割引・譲渡を使う可能性があるなら、登録と同時に割引の審査も受けておく
財務状況が良好なうちに登録を済ませておくことが重要です。業績が悪化してからでは銀行審査に通らず、でんさいを受け取れないまま資金繰りが厳しくなるケースもあります。
でんさいの使い方・始め方
支払側として始める手順
- 参加金融機関の窓口またはオンラインで申込書類を提出する
- 金融機関が審査を実施する(決算書・財務状況・取引実績)
- 審査通過後、利用者番号(でんさい番号)が付番される
- インターネットバンキング経由でサービス開始
審査から番号付番まで、通常1〜3週間かかります。急ぎの資金調達には間に合わないため、余裕を持って申込みを済ませておくことが重要です。
でんさいを利用するには、支払側・受取側ともに取引金融機関を通じてでんさいネットに登録している必要があります。
取引先(受取側)がまだ登録していない場合は、登録手続きを促しておくことが大切です。
受取側として登録する手順
- 自社のメインバンクがでんさいネット参加機関かどうかを確認する(でんさいネット公式サイトで確認可能)
- 参加金融機関の窓口で「でんさいネット利用申込み」を行う(必要書類:本人確認書類・決算書または確定申告書・事業実態を確認できる書類)
- 審査(財務状況・取引実績・信用情報)を受ける
- 利用者番号の付番を受け、インターネットバンキングからログイン確認
- 必要であれば、同時に割引限度額の審査も申請する
割引を使う予定がなくても、登録だけはしておくべきです。登録済みの状態なら、必要になったときすぐに割引申込みができます。
元請けから「でんさいに切り替える」と言われた場合の対応
- ステップ1:まず内容を確認する 「いつから切り替えるか」「どの金融機関を使う予定か」を確認します。自社のメインバンクが参加機関かどうかも確認が必要です。
- ステップ2:自社の登録手続きを開始する メインバンクに「でんさいネット利用申込みをしたい」と相談します。切り替え日程から逆算して、1ヶ月以上前に申込みを完了させます。
- ステップ3:でんさいを受け取る 元請けが発生記録を行うと自社口座に通知が届きます。支払期日まで保有するだけなら追加操作は不要です。
- ステップ4:割引するかどうかを判断する 資金繰りに余裕があれば保有、一時的に資金が必要なら割引、審査が通らない場合はファクタリングを活用します。
審査に通るための準備(個人事業主・一人親方向け)
| 審査項目 | 求められる水準の目安 |
|---|---|
| 青色申告の実績 | 2期以上(2年分の確定申告書が必要) |
| 売上規模 | 年間売上500万円以上が目安(金融機関により異なる) |
| 所得水準 | 事業所得が継続的にプラスであること |
| 税金・社会保険の滞納 | 滞納ゼロが絶対条件 |
| 取引実績 | 主要取引先との継続的な取引実績(請求書・入金履歴で証明) |
| 信用情報 | 個人信用情報に延滞・債務整理の記録がないこと |
審査を有利に進めるポイント
- メインバンクに相談する:普段から預金残高があり、融資実績がある銀行は審査が通りやすい傾向にあります。
- 確定申告は青色で2期以上:白色申告では審査に通らないケースがあります。
- 売上の安定性を示す:単発の大口売上より、毎月安定した入金記録のほうが評価されます。
- 債務超過・延滞は事前に解消する:審査直前に解消しても評価は低いため、早めに手を打つことが重要です。
- 割引申込みは後回しにしない:登録と同時に割引の審査も受けておくと、後から必要になったときに手続きが少なくて済みます。
書類の準備が整っていれば審査が3営業日程度で完了することもあります。早めの準備が重要です。
でんさいに関するよくある質問
よく寄せられる質問と回答をまとめました。
Q1. でんさいとファクタリングはどちらが手数料が安いですか?
でんさい割引が圧倒的に安いです。でんさい割引は年率2〜15%ですが、500万円・60日の場合は約2.5万円です。
同条件の2社間ファクタリングでは50万〜100万円になります。ただし、でんさいには銀行審査と取引先登録という条件があります。
Q2. でんさいの受取側も必ず登録が必要ですか?
はい、必須です。
発生側(支払企業)だけでなく、受取側(下請け・受注企業)も取引金融機関を通じてでんさいネットに登録していなければ、でんさいの受取・割引・譲渡はできません。
元請けからでんさい移行の話が出たら、早めに自社のメインバンクへ登録手続きの相談をすることをおすすめします。
Q3. 個人事業主や一人親方でもでんさいは使えますか?
使えます。でんさいは大企業専用ではなく、個人事業主・一人親方でも参加金融機関の審査を通過すれば利用できます。
審査には2年分の青色申告書・主要取引先との取引実績・税金滞納ゼロの状態が必要です。
Q4. でんさいを割引しない場合にコストはかかりますか?
受取側にはほぼコストがかかりません。発生記録手数料は支払側(元請け)が負担するのが一般的です。
でんさいを受け取って支払期日まで保有するだけであれば、受取企業に直接的なコスト負担は発生しません。
Q5. でんさいの割引と手形割引の違いは何ですか?
仕組みはほぼ同じですが、でんさい割引は電子的に完結し、紙の受け渡しが不要です。
手数料もほぼ同水準(年率2〜15%)ですが、でんさいは分割割引ができる点が大きな違いです。
手形割引では紙の手形を持参しなければなりませんが、でんさい割引はネットバンキングから申込めます。
Q6. でんさいに登録するには審査があると聞きましたが、どれくらい厳しいですか?
銀行融資の審査よりは緩やかですが、財務状況が悪い場合は通りません。黒字経営・税金滞納なし・信用情報に問題なしの3条件を満たしていれば、多くの場合通過できます。
審査期間は1〜3週間が目安です。
Q7. でんさいを受け取ったが取引先が倒産した場合はどうなりますか?
でんさいを割引している場合(銀行などに売却済みの場合)は、償還請求権に基づき割引額の返還を求められる可能性があります。
まだ割引していない(支払期日まで保有している)場合は、でんさいの債権は消滅してしまい、回収は困難になります。
このリスクを避けたい場合は、ノンリコース(償還請求権なし)のファクタリングの活用も検討してください。
Q8. 約束手形が2027年に廃止された後、でんさい以外の選択肢はありますか?
あります。銀行振込(早払い)・電子請求書等早払いサービス・動産担保融資(ABL)などが代替手段として活用されています。
ただし、でんさいは現時点で最も普及した電子記録債権制度であり、参加金融機関数・利用企業数ともに他サービスを大きく上回っています。
Q9. でんさいの利用開始にはどれくらいの期間がかかりますか?
申込みから利用開始まで、通常1〜3週間かかります。
書類準備が整っていれば1週間程度で完了するケースもありますが、審査に追加書類が必要になると1ヶ月以上かかることもあります。
元請けからでんさい移行の通告を受けてから動くと間に合わない可能性があるため、早めに申込みを済ませておくことをおすすめします。
まとめ|でんさいとファクタリングの使い分け
でんさい(電子記録債権)は、印紙税不要・事務コスト削減・分割譲渡可能という点で、従来の約束手形を大幅に上回る決済手段です。
支払側(元請け)に向くケース
- 印紙税・取立コストを削減したい
- 銀行審査を通過できる財務状況
- 取引先に登録を依頼できる関係
- 2027年3月の手形廃止に先手を打ちたい
受取側(下請け)が準備すべきこと
- 取引先のでんさい移行予定を今すぐ確認
- 通告が来る前にメインバンクで登録
- 割引予定がなくても登録だけは済ませる
- 保有のみなら追加コストゼロ
でんさいが向いていないケース
即日・翌日の資金調達が必要 / 赤字・税滞納で銀行審査が難しい / 取引先がでんさい未登録で移行見通しなし → ファクタリングを検討
ファクタリングとでんさいの使い分けチェックリスト
| 状況 | 推奨手段 |
|---|---|
| 取引先がでんさい登録済み × 銀行審査OK | でんさい割引(コスト最優先) |
| 即日で資金が必要 | ファクタリング(2社間) |
| 赤字・財務難でも資金調達したい | ファクタリング(2社間) |
| 倒産リスクを移したい | ファクタリング(ノンリコース) |
| コストを極限まで下げたい | でんさい割引 |
| でんさい受取済みだが銀行審査が通らない | ファクタリング(でんさいを売却) |
今から動くべき3つのアクション
- 主要取引先にでんさいネットへの登録を打診する、または先方の移行予定を確認する
- 取引メインバンクにでんさい利用申込みを相談する(審査に1〜3週間かかるため早めに)
- 手形サイトが60日超の取引をリストアップし、優先的に見直す
2027年3月末の手形廃止目標まで、時間はそれほど多くありません。
「取引先が登録してから考える」「元請けに言われてから動く」では審査が間に合わない可能性があります。
でんさいへの移行準備は、今日から動き始めることをおすすめします。




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