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春闘5.26%賃上げでも資金が足りない — 中小企業の資金繰りを守る3つの選択肢

【2026年3月24日 速報】

連合が3月23日に発表した2026年春闘の第1次集計で、賃上げ率は5.26%となりました。加重平均(組合員数で重みづけした平均)で1,100組合が対象です。3年連続5%台を維持した一方、中小労組(300人未満・552組合)は5.05%にとどまっています。

元ファクタリング会社の審査担当として中小企業の資金繰りを見てきた立場から、この賃上げが経営に与える影響を整理します。

この記事でわかること
  • 2026年春闘の賃上げ率5.26%が中小企業の資金繰りに与える影響
  • 賃上げを持続できない企業が3割に達する背景
  • 銀行融資・補助金・ファクタリングの3つの資金確保策の使い分け

目次

何が起きたのか — 春闘2026 第1次集計の要点

項目 2026年(第1次) 2025年(同時期) 増減
全体賃上げ率 5.26% 5.46% ▲0.20pt
中小労組(300人未満) 5.05% 5.09% ▲0.04pt
集計組合数 1,100
中小集計組合数 552
nippon.comの春闘2026第1次集計報道
出典: nippon.com「2026年春闘 : 1次集計の賃上げ率 5.26%」(2026年3月23日)

トヨタ自動車が6年連続の満額回答を出すなど、大手製造業では高水準の回答が相次ぎました。しかし中小企業の現場では、数字ほど楽観できない状況が広がっています。賃上げ分の人件費増が売掛金の入金前に発生するため、ファクタリングの利用頻度や調達額が増える可能性があります。

中小企業の資金繰りへの影響 — 3割が「持続できない」

東京商工リサーチの調査(2026年度)によると、賃上げを「実施する」と回答した企業のうち、30.4%が「持続的な賃上げの見通しが立っていない」と答えています。

賃上げが資金繰りを圧迫する構造
  • 賃上げ5%で月の人件費が数十万円〜数百万円増加
  • 賃上げを実施する企業でも30.4%が「持続の見通しなし」(TSR調査)
  • 賃上げを見送る企業の理由は「価格転嫁できない」44.7%、「コスト高騰」43.5%
  • 道路旅客運送業の21.4%、医療業の16.6%が「毎年実施は難しい」と回答
東京商工リサーチ 2026年度賃上げアンケート調査
出典: 東京商工リサーチ「2026年度の『賃上げ』実施予定は83.6%」(2026年2月20日)

とくに建設業や運送業では、売上の入金が2〜3カ月先になります。一方で人件費は毎月発生するため、賃上げ分の原資を回収前に確保しなければなりません。このタイミングのずれが資金ショートの引き金になります。

「賃上げしたいのに資金がない」を解消する3つの方法

賃上げの意思はあるのに手元資金が追いつかない場合、以下の3つの選択肢があります。

1 銀行融資の増額交渉

まず検討すべきは取引銀行への融資増額です。日銀の政策金利は2026年3月時点で0.75%に据え置かれています。野村證券のメインシナリオ(2026年1月時点)では、年内2回の利上げで年末に1.25%に到達するとの見通しです。変動金利の借入はコスト増のリスクがあり、審査にも1〜2週間かかります。急ぎの資金需要には対応しにくいのが実情です。

2 補助金・助成金の活用

厚生労働省の「業務改善助成金」(次年度の受付は2026年9月以降の見込み)や、各自治体の賃上げ支援制度を活用する方法です。ただし申請から支給まで数カ月かかるケースが多く、今月・来月の資金繰りには間に合いません。次年度の申請スケジュールを確認し、中長期の原資確保策として計画的に準備するのが現実的です。

3 ファクタリングで売掛金を早期現金化

すでに発生している売掛金をファクタリング会社に売却し、最短即日で現金化する方法です。融資と異なり借入ではないため、負債が増えません。売掛先の信用力で審査されるため、赤字決算や税金滞納があっても利用できるケースがあります。

ファクタリングとは、売掛金(請求書)をファクタリング会社に売却して、支払期日前に現金を受け取る資金調達方法です。手数料は2社間(自社とFA会社の直接取引)で8〜18%、3社間(売掛先も関与する取引)で2〜9%が相場とされています。

建設業や運送業のように支払いサイトが長い業種では、賃上げ分の運転資金を売掛金の早期回収でまかなう企業が増えています。

賃上げと資金繰りを両立させるために

2026年春闘の賃上げ率5.26%は、労働者にとっては朗報です。しかし中小企業の経営者にとっては、売上が伸びないまま人件費だけが膨らむという構造的な問題に直面することを意味します。

東京商工リサーチのデータでは、賃上げを実施しない理由として「価格転嫁できていない」が44.7%、「コスト高騰」が43.5%を占めています。原材料費・エネルギー費の上昇に加え、中東情勢やトランプ関税による追加コストも重なり、中小企業の収益は圧迫されています。

帝国データバンクの集計では、2025年の人手不足倒産が年間427件と過去最多を更新しました。建設業だけで113件にのぼります。賃上げで人手を確保した結果、資金繰りが悪化する悪循環を断ち切る必要があります。

今すぐやるべきこと

自社の売掛金残高と今後3カ月の人件費増を書き出し、不足額を把握してください。不足が毎月発生するなら銀行融資の増額交渉を優先し、一時的な不足なら売掛金の早期現金化が選択肢になります。状況に応じて3つの手段を使い分けることで、賃上げと経営の安定を両立できます。

帝国データバンク 人手不足倒産の動向調査(2025年)
出典: 帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年)」

情報ソース:

最終確認: 2026年3月24日

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この記事を書いた人

元地方銀行員、元ファクタリング会社審査部。銀行員時代は4年間で200社超の決算書を審査。転職後のファクタリング会社では営業・審査を合わせて8年、累計約4,000件の案件に携わった。「業者がどこを見ているか」を審査担当者の立場で知っている。日商簿記2級・FP2級保有

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